動脈硬化とは
動脈硬化とは、血管の柔軟性が失われ硬くなってしまう症状です。
主な原因として
・糖尿病
・飲酒、喫煙
・肥満、加齢、ストレス
などが挙げられます。
血管内細胞障害を起こし、血管の柔軟性がなくなり、血液を送り出す際の伸縮に影響をきたし動脈硬化が起こります。
さらに症状が進行すると血管が狭窄し、血栓による閉塞などが起こり、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などが発症してしまう可能性もあります。
そこで当クリニックでは、脂肪由来間葉系幹細胞療法という再生医療による治療を行っています。
自身の4~5㎤という非常に小さな脂肪から幹細胞を分離し、それを当院提携のCPCにて増殖培養し、1億個程度まで増やした後に点滴や注射などで投与する方法で、独自の方式にて非常に小さな脂肪を採取するため侵襲が低く安全性の高い治療方法です。
治療の対象者
・動脈硬化性病変を有すると判断された方
・心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の既往がある
・頸動脈エコー検査で頸動脈(総頚動脈、内頚動脈)にプラーク(IMT1.1以上)を有する
・冠動脈 CT 検査で冠動脈壁不整、石灰化、狭窄、閉塞所見を有する
・頭部 MRI、MRA 検査で脳梗塞巣が指摘される
・二親等内の血縁者に動脈硬化性疾患を有する者が 2 名以上いる
・遺伝子検査で動脈硬化の素因が高いと判断された
治療ができない方
・治療申し込み時点で 18 歳未満
・脂肪採取に十分耐えられる健康状態はない
・正常な同意能力を有さない、または代諾者から同意が得られない
・本治療に関する同意説明文書を受理し十分な説明を受け、自由意思による同意を文書で示していない(代諾者が文書にて同意していない)
・問診、検査等などから担当医師により治療適応が無いと判断された方
・妊娠中の方
・婦人科系の疾患を治療中の方
・増殖性糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性症の診断を受けた
・コントロールが不良な高血圧もしくは不整脈を認める方
・譫妄(せんもう)の臨床症状を示す
・ペニシリンの過剰反応がある
・脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳血管障害にて現在加療中、または過去 3 か月以内に入院加療を受けた
・脳腫瘍にて現在加療中、又は未治療のうつ病、又は治療によっても改善していないうつ病に罹患している
・12 週間以内において、B 型肝炎、C 型肝炎、HIV、梅毒などの感染症検査の結果が陽性の方
※詳しくはお電話・メールでお問合せください。
脂肪幹細胞治療のメリット
1.自身の脂肪幹細を使用するため、副作用が少なく安全
薬品や化学物質を使わないため、安心して治療を受けていただけます。
2.入院、手術の必要がない
脂肪幹細胞治療は、脂肪組織の採取も自己脂肪由来幹細胞の投与も外来で実施可能です。身体的負担が少ない治療です。
3.幹細胞を保管することで生涯治療に使用できる
培養した幹細胞を保管し、再度注射することも可能です。
治療の流れ
入院不要で日帰りで治療ができます。
STEP01
カウンセリング
説明と同意、書面で取り交わす
↓
STEP02
血液検査
事前検査及び適合判定を実施
↓
STEP03
脂肪採取及び採血
局所麻酔にて腹部等脂肪が確実に採取できる場所から脂肪採取(米粒2粒程度)を行います。
培養用に血液100mlを採血します。
↓
STEP04
CPC(培養施設)で細胞培養・増殖
※約6~8週間の期間培養し、細胞1億個の培養を目指します。※細胞の増える量には個人差があります。
↓
STEP05
点滴による投与(30分程度)
培養した幹細胞を点滴します。
↓
STEP06
経過観察
幹細胞投与後1.3.6.12か月後を目処に可能な限り観察いたします。
予想される効果と起こる可能性のある副作用
予想される効果
脂肪由来間葉系幹細胞は、神経・脂肪・筋肉・骨・軟骨・他の内臓組織に分化(形態や機能を獲得)する能力を持ち、損傷した細胞や老化した細胞の修復が可能とされています。
また、幹細胞から出るサイトカインやエクソソームなどの液性因子がパラクライン効果を発揮して、免疫系の制御、血管新生、抗炎症作用、抗酸化作用、抗アポトーシス作用、組織修復作用など様々な治療効果が期待できます。
起こるかもしれない副作用
【脂肪組織採取時】
・切開した部位からの出血
・切開した部位の感染や痛み
・麻酔薬使用に伴う副作用、アレルギー症状(動悸、蕁麻疹、呼吸苦など)
【投与における副作用等】
・幹細胞投与後に発熱
通常は 24 時以内に消失します。
・アレルギー症状
治療中に、動悸、蕁麻疹、呼吸苦などのアレルギー症状を来したという報告があります。
・想定外の偶発症
過去に、脂肪由来間葉系幹細胞の投与を受けた患者様が、肺梗塞で死亡した症例があります。幹細胞の投与と肺梗塞による死亡との因果関係は不明ですが、肺塞栓症は幹細胞静脈内投与の最も危険な合併症です。
万が一治療経過中に肺塞栓症を発症した場合には、当院では以下のように対応いたします。
①院内で発生した場合は、胚血栓塞栓症の治療ガイドラインに基づいた重症度判定を行い、呼吸循環管理を迅速に実施した上で提携医療機関などに救急搬送します。
②院外で、突然に呼吸困難、胸痛、冷や汗などが生じた場合は、当院に電話連絡をして下さい。救急要請が必要かの判断と必要に応じて提携医療機関など対応病院のご案内をいたします。
③偶発症に関しては、先ず当院で対応しますので、幹細胞投与後に苦痛を伴う気になる症状がある場合は当院(営業時間外は緊急連絡窓口)ご連絡をお願いします。万が一当院で対応できない症状が発生した場合は、入院設備が完備された外部の医療機関をご案内いたします。
本治療法における注意点
投与当日は、激しい運動、徹夜、過度の飲酒などは控えてください。
試料の保存及び破棄の方法
この治療にて採取した血液は、患者様ご自身の治療のみに使用します。
治療結果を研究のデータとして用いる場合、ご本人様または代諾者様へ利用の可否の確認を別途いたします。また、治療結果の発表を含めあなたの名前や個人を識別できる情報は一切公表されることはありません。
採取し培養した細胞加工物の一部は施術直前毎に-80 度において最低 10 年間保存いたします。
培養の失敗時
脂肪採取時や、自家脂肪由来間葉系幹細胞培養中などに、非常に稀に細菌や真菌などが混入する場合があります。(コンタミネーション)と言います。万が一コンタミネーションが確認された場合、培養している細胞はすべて廃棄するため、投与を行うことができません。このような場合、その材料は破棄することになります。その場合、継続して治療を希望される場合は改めて脂肪組織採取を行うことになります。※その場合は採取時の費用は不要です。
本治療の審査・届け出
自家脂肪由来幹細胞を用いた治療を当院で行うにあたり、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、再生医療等委員会の審査で「適」の承認を経た後に、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出しています。
計画の閲覧を希望される方は、問い合わせ窓口にご連絡ください。
他の治療法との比較
動脈硬化症には様々な要因が関係することが知られています。要因となる疾患により治療方法も異なりますが、一般的には生活習慣の見直し(食事療法・運動療法)が最優先となり、それでも改善が見られない場合に薬物療法、手術療法が勧められます。
食事療法としては、栄養バランスの摂れた規則正しい食生活を心がけて頂くことやアルコールの過剰摂取を控えて頂くことなどが挙げられます。運動療法は、ウォーキングや水泳などを 30 分以上、週に 3~4 日続けることが推奨されています。
生活習慣の見直しをしても症状の改善が見られない場合の薬物療法として、コレステロールを減らす作用のあるスタチン系の薬剤や、肝臓での中性脂肪の産生を抑えてコレステロール排泄を増加させるフィブラート系薬剤、中性脂肪を減らして血液をサラサラにする働きのあるオメガ 3 脂肪酸製剤などがあります。
薬物療法では継続的に服用するため副作用等のリスクがあります。また、狭くなったり塞がったりした血液の通り道を改善する目的としてカテーテル治療やバイパス手術が選択されることもあります。これらの外科的療法は侵襲が大きい治療方法です。
よくある質問
Q.入院は必要ですか?
A.投与する細胞の元となる患者さまの自己組織の採取と、培養が完了した後、投与のために合わせて2回ご来院いただく必要がありますが、いずれの処置も日帰りで行えます。
Q.治療時間はどのくらい掛かりますか?
A.患者さまの自己組織の採取は1時間程度、点滴による治療自体は1~2時間ほどで処置が完了します。完全予約制なので待ち時間はありません。
ただし、脂肪幹細胞の培養に6~8週間ほどお時間をいただきます。したがって、初診から治療までの期間は、約1ヵ月半~2ヵ月とお考えください。
Q.治療に必要な自己組織はどのくらいですか?
A.採取する組織は直径3mm×皮膚表面から深さ5mm程度を採取します。採取時は麻酔をするため痛みはほとんどありません。
Q.治療に必要な自己組織はどのくらいですか?
A.採取する組織は20mL。わずか大さじ1杯強です。痩せている方やご高齢の方にも受けていただくことができます。
Q.安全性は担保されていますか?
A.再生医療による治療は、厚生労働省に治療の提供計画書を提出し、受理されなくては提供できません。当院の申請は受理されており、国内でも安全性が厳しく審査された治療法をご提供しています。
Q.医療費控除の対象となりますか。
A.治療目的であれば、医療費控除の対象になることもございます。手続き方法等詳しくは最寄りの税務署にお問い合わせください。