すい臓とは

すい臓は、体の中心部に位置し、前から見ると胃の後ろに位置しています。
長さ1s 20 cm ·厚み2cm程度で、淡黄色でふわふわと柔らかく、とうもろこしを横にしたような形をしています。

〇すい臓は重要な臓器です
すい臓は、食べ物を消化する「すい液(消化液)」を産生し、十二指腸に送り出す(外分泌)ことと、血液中の糖分の量を調節するインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン等のホルモンを分泌する(内分 泌)という2つの働きを持つ、極めて重要な臓器のひとつです。
インスリンの分泌が減ると、糖尿病の危険性が高まることが知られています。

すい臓がんが関与する重要な機能
> 食べたものを消化する
> 糖をエネルギーに変える
> 血糖値を調節する

膵臓がんとは

すい臓がんは、5年生存率(5年後も生存している割合)がもっとも低いがんです。日本では、2013年以降毎年3万人以上の方がすい臓がんで亡くなり、その数は毎年数%ずつ増えています。

〇すい臓がんは早期発見が重要です

早期では自覚症状が現れにくく、症状を自覚し始めるころには、すでにがんが進行した状態になっていることも少なくありません。

治療の比較

標準治療プレシジョンメディスン
抗がん剤分子標的薬治療・免疫療法(オーダーメイド治療)

現在、膵臓がんの標準治療として承認されている抗がん剤は、ほぼすべてが「殺細胞性」抗がん剤と呼ばれるもので、がん細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃してしまいます。そのため副作用が強く出てしまい、QOLが著しく低下してしまうケースも少なくありません。

そこで、私たちは膵臓がんの根本的な原因を突き詰め、一人一人にあった治療法で元気な生活を取り戻し、維持していくことを目指していきます。

プレシジョンメディスンでどのように良くなるのか……

診断:膵臓がんステージ4(肺・肝臓の転移、腹膜播種)70代男性
 
他院で、膵臓がんの抗がん剤の中でも、もっとも強いタイプの抗がん剤(フォルフィリノックス・FOLFIRINOX)を受けたのち、重度の副作用(皮疹)が出現。
吐き気や食欲低下なども出てきたため、主治医から「もう、うちでは抗がん剤はできない。緩和ケアを考えましょう。」と告げられました。
そのような中、ご家族がインターネットを調べ、当グループの膵臓がん患者さまの口コミを見て関心を持たれ、ご来院されました。
 
来院時の状態は、
体力:自立歩行でのご来院
食事量:通常の60%弱→その直後に30%弱へと低下
腫瘍マーカー:CEAは80台、CA19-9は7,000台(いずれも上昇傾向)
でした。
 
患者さまのがんは明らかに勢いを増しており、すぐにプレシジョンメディシン(分子標的薬治療+プレシジョン免疫療法)の準備を始めました。
その間にも体力・食欲は日に日に低下。腹膜播種による腹痛も出てきて、食事量はあっという間に30%以下にまで落ち込みました。
麻薬系の痛み止めと消炎鎮痛剤を増量せざるを得ず、またたくまに自立歩行での来院も難しくなってしまいました。
 
1ヶ月弱の準備を経て、ようやくプレシジョンメディシンを開始。
当グループの中でも最も強力なプレシジョン免疫療法を選択しました。
免疫療法は本来、じわじわと効果を発揮させる中長期的な治療となるため、初診時に検査しておいた遺伝子検査(遺伝子パネル検査)の結果を参考に、患者さまにピタッとハマる抗がん剤(分子標的薬)も、免疫療法から半月ほど遅れてスタートしました。
このピタっとハマる抗がん剤(分子標的薬)は、まさにがんの勢いを抑える即効性を期待したお薬になります。
当初、抗がん剤は他院で副作用のため使えないと宣告されていました。したがって、当医師チームではお薬の副作用リスクについて十分な議論を重ねた上で、慎重に抗がん剤(分子標的薬)治療を開始することになりました。
 
さて、免疫療法と抗がん剤(分子標的薬)を開始してからもなお、腫瘍マーカー(CA19-9)の数値は上昇し続け、7,000から既に15,000を超えている状態でした。
 
もはやこの膵臓がんの勢いは当院のプレシジョンメディシンでも抑えることはできないか?と、不安が頭によぎりました。
 
しかし、その直後から反転し、患者さまの体調はみるみる改善。食事量は30%弱から80%にまで一気に回復。なんとゼリーやおかゆのような流動食から、普通にお肉(ヒレステーキ)のようなものまで食べられるように回復しました。
 
その後に調べた腫瘍マーカーは1カ月で、
CA19-9:1,600(ピーク15,000)
CEA:36(ピーク120)
までに劇的に低下。
 
他院で悩まされていた抗がん剤の副作用については、頭や顔を中心に皮疹がみられたものの、それ以外に日常生活を阻害するような副作用はなく、対症療法で様子をみることができました。
 
即効治療である分子標的薬がピタっとハマり、腹部にピンポンボール大にまで大きく触れていたしこり(膵臓がんによる腹膜播種)も触れなくなり、痛みもきれいに消失。飲んでいた痛み止めを終了することができました。
 
何よりお顔や言葉に力がみなぎり、ご自身で当院にお電話をかけてくるようになり、再び自立歩行で来院できるまでになりました。